日比谷公会堂の思い出

日比谷公会堂 アーカイブ・カフェ 


神風流は、毎年春と秋に日比谷公会堂で全国詩吟大会を開催してきましたが・・・
日比谷公会堂は2016年から改修工事に入ることになり、日比谷公会堂での全国詩吟大会開催は今年が最後となってしまいました。
日比谷公会堂の個人的な思い出は幾つかあるのですが、なかでも一番心温まる出来事について書こうと思います。
日比谷公会堂の1階に「アーカイブ・カフェ」というレトロな喫茶店があります。コーヒーが美味しくて、大会のときに注文すると、お店の方が楽屋まで持ってきてくださいます。

さて、去年のこと。いつものように大会が終わったあと、駐車場に停めていた車を出そうと思ったら、エンジンがかからなくなり困ってしまいました。バッテリーがあがってしまったことによるものなのですが、JAFを待つために、真っ暗で寒い中、誰もいない駐車場で佇むことになってしまいました。
そんな時、「アーカイブ・カフェ」の方が、もう閉店時間を過ぎているのにもかかわらず、お店を開けてくれたのです。
暖かいカフェの中で待つことができたことと、それに何といってもレトロな空間!!
大会の時はいつも更衣室として使わせていただいているので、このような素敵な空間だということを知りませんでした。
1929年に竣工された日比谷公会堂の今までの歴史資料が展示され、かつてのチケット売り場もそのまま残されていました。これだけでも昭和にタイム・スリップできるのですが、お店の方の粋な計らいで、待ち時間にパブロ・カザルスのラッパ吹き込みの復刻CDをかけてくれたのです。蓄音機のあたたかい音色に感動し、感謝感激でした。
身も心もあたたかくなるというのはこういうことなのだと思いました。
思いがけない親切をいただいたことをいつまでも忘れません。
お店の方がおすすめして下さった曲は、ベニアミーノ・ジーリです。家でCDを聴いて、時折このことを思い出しています。

                                  (2015年11月4日)