白洲正子『韋駄天夫人』

白洲正子の随筆『韋駄天夫人』の「ことば」を紹介します。


韋駄天夫人 (平凡社ライブラリー)柿生の自然と人に対するあたたかい眼差しを感じる文章です。

「暖めればのびるし、傷つければしぼむ。人間も植物のように、それほど強いものではない、ということは私自身常に経験するところである。と、こんな話を思い出したのも、目の前の景色が、今朝はあんまり美しいからである。」






この言葉を感じられる場所に行ってきました。東京都町田市にある旧白洲邸(写真)です。
茅葺屋根の「武相荘」。裏庭の竹林の風がそよそよと心地良い音を聴かせてくれました。







プリンシプルのない日本 (新潮文庫)昭和15年、白洲次郎は、日米開戦は不可避だが参戦すれば敗戦にいたるとして職を辞し、この古民家を購入し移り住みました。
戦後、白洲次郎は吉田茂の特使としてアメリカに渡り、対米交渉に従事しました。アメリカからみれば、「従順ならざる唯一の日本人」だったそうです。日本人の気概を示した人物として人気があります。








「気概」とは、自ら進んで困難に立ち向かっていく強い意志のことです。
自己の信念と気概を吐露した詩というと、魏徴の「述懐」でしょうか。最後の句「人生意気に感ず」はあまりに有名です。漢詩には、このように気概が感じられるものが多数ありますので、それもまた詩吟の醍醐味だと思います。