学士会館で詩吟勉強会

毎年12月第3日曜日、神風流総本部主催の温習会を学士会館で開催されていましたが、第21回目の今年は勉強会として開催されました。


詩吟を知らない方にも広く知っていただける機会になるように、そして、詩吟を始めたばかりの方にも気軽に舞台に立って勉強していただけるように。
勉強会の意義について、開会の辞で神山吟詠会会長百瀬先生がお話しされました。
舞台に立って人前で堂々と吟じるという体験は、多ければ多いほど勉強になります。


勉強会には、総元先生のお稽古に通われている先生方、また、その先生方の生徒さんたちが多数参加されました。


舞台では、尺八伴奏での吟詠です。
詩吟は伴奏に合わせて歌うものではなく、自分の声に合わせて尺八の伴奏がついてきます。自分の声や音程が確立していないと難しいのが詩吟です。
コンクールの決勝大会も尺八前奏のみになっていますので、こうした尺八に合わせて吟じる勉強もできました。

さて、総元先生のお稽古に来ている方にとっても今日は勉強会。
総元先生の吟詠指導がありました。

吟題は、「漫興」杜甫(712~770)です。
安禄山の乱が起こり、杜甫は戦火を逃れ苦しい長旅に出ました。成都にたどり着き、草堂を建て、759年から約四年間この地で過ごしました。杜甫の生涯の中で比較的心安らかな時期であり、約430首を詠んでいます。
とりとめもない思い(漫興)を詩にしたためた連作、絶句漫興九首の中で最も有名なものは其四。

二月已破三月来
漸老逢春能幾回
莫思身外無窮事
且尽生前有限杯

(意訳)二月が過ぎ、三月がやってきた。老いた自分はあと何回春を迎えられるのだろう。とは言え、自然とはめぐりゆくものである。自分の力でどうにかなるものではない。
まあ、だから、そんなことは考えないことにしよう。今、飲めるだけ飲んでおこうではないか。生きている限り、生きている時間を楽しもうではないか。

この絶句を中国語で朗読をしてくれたのは李彦君さんです。
中国の高校生朗読コンクールで優勝した経験を持っています。神風流全国詩吟大会では「王昭君」の詩を朗読してくれたことがあります。今回は、晩年の杜甫の心情を見事に表現してくれました。

李彦君(リゲンクン)さんと

会場の皆さんと「漫興」を合吟。



合吟、独吟、コンクールの練習。
そして総元代範による「4つの会」の合吟。
午前9時半から始まり、午後4時までしっかり勉強しました。



私は「城山」を吟じました。
12月16日は、NHK大河ドラマ「西郷どん」最終回なので「城山」を選びましたが、今回、「城山」に琵琶の「語り」を入れてみました。
琵琶のお稽古で「西郷隆盛」を習い、琵琶に詩吟「城山」を入れて演奏したことがあったのですが、今回はその逆です。
詩吟と琵琶を比較してみると、琵琶は「語り物」といわれるだけあって詩吟より言葉がわかりやすい。詩吟も「語り物」ではありますが、基本が漢文調です。例えば「城山」の詩文ですが、琵琶の「語り」では、「秋風」を「あきかぜ」と読みますが詩吟では「しゅうふう」と読むように、詩吟では音読みが多く、初めて聴く人に意味が伝わりにくいというのがあります。ただ言葉を読んでいるだけでは伝えられない。そこで詩吟にとって大事になってくるのは詩心と旋律です。言葉に心が込められているかどうか、言葉の深みや味わいが上手く旋律にのせられるか、旋律とは緩急や強弱、流れやリズムも含みますが、詩を吟じるとき、単調にならない工夫が必要です。
また、詩吟と琵琶(薩摩琵琶)の共通点に「勇壮さ」があります。薩摩琵琶も武士の修養として位置づけられ、自らの心の奮い立たせようと、武士の志がうたわれてきました。その「勇壮さ」に魅了された音曲の琵琶「西郷隆盛」を詩吟「城山」に合わせて今回発表することができました。本当は琵琶の「手」も入れたかったのですが、難しくて未完成です。もっと練習して、いつか詩吟とともに披露してみたいと思います。



免状授与式。総元先生から箱免状が授与されました。宗師号を授与されたのは、荻窪教室の岡本さんです。



最後は合唱です。皆が一緒に歌える歌を!という思いから始まったプログラムです。指導は、某合唱団で長年活躍されてきた藤が丘教室の寺岡さんです。





締めは、日吉槇吟会会長尾崎先生。横浜市で神風流の教室を多数主宰しています。今日の勉強会にも多くの生徒さんが参加されました。
ご参加いただきました各会・各教室の先生方、会員の皆様、どうもありがとうございました。

総本部荻窪教室(読売カルチャー荻窪)
総本部浦和教室(読売カルチャー浦和)
総本部自由が丘教室(産経学園自由が丘)
総本部藤が丘教室
総本部神風会館教室
日吉槇吟会
槇詞会
吟警会
神山吟詠会
神雅会
東洋吟道会
芳友会
岳風会
松風会
神笑会
浦安詩吟会

2019年は12月15日(日曜日)、学士会館にて開催します。詳細等はメールでお問い合わせください。shigin.shinpuryu@gmail.com