令和元年11月3日 有楽町よみうりホールで全国詩吟大会開催



会場の近くに十月桜が咲いていました。その名の通り、10月から開花し、春まで咲き続けます。神風流の秋季全国詩吟大会は、毎年ほぼ11月3日に開催されてきましたが、この時期に「桜」に気付いたのは初めてです。

大会当日朝、桜の神風流マークと桜色の看板が、開店前のビックカメラの看板の前に立てられました。有楽町よみうりホールへは、このビックカメラのビルからエレベーターで7階に上がります。1階のエレベーター前に、朝9時には多くの方々の列ができていました。



今年の大会テーマは「令和に伝えたい詩吟」です。
大会プログラムは、令和カラーの桜、梅、菫の色を背景に、令和の典拠・万葉集の字句が並んでいます。



開会式は9時半。1階の席は、ほぼ満席となりました。


最初に会場の皆様との大合吟です。
吟題は「壁に題す」です。

題壁  釈月性

男児志を立てて 郷関を出ず
学 若し成る無くんば 死すとも還らず
骨を埋むる豈唯 墳墓の地のみならんや
人間 到る処 青山あり

気合いが入る詩吟です。

午前中の第一部は、少年少女吟詠、新宗師吟詠、新神号吟詠、新総元代範吟詠と続きます。
第一部の最後に、私たち花の会は「華道吟」で参加しました。
吟題は、良寛の「無心境」。良寛の和歌、舞いも入ります。
吟詠が終わるまでの短い時間に、三人の方によってそれぞれの花器に花が生けられました。



第一部の最後は、免状授与式となり、総元岩淵神風先生から免状が授与されました。
免状を授与される方々には、会場の皆様からも賛辞が贈られました。今の時代は、つい近道を求めてしまいがちですが、鍛錬と努力を重ねてこそ得られたものはかけがえのないものだと思います。


免状授与式の舞台には、華道吟で生けられた花が飾られています。

午後、第二部に入り、「令和に伝えたい詩吟」が次々と吟じられます。
関東一円の地域の他、新潟、岐阜、京都、仙台など、全国の神風流会員が集いました。


「兵児謡」は、梅の会の皆様によって薩摩健児の気概が吟詠されました。


「令和に伝えたい剣詩舞」は、劔豪会会長前田劔豪先生社中の皆様の詩舞とともに、新潟県の柏新吟詠会、福吟会、観要会の皆様の吟詠です。

名槍日本号(松口月城)
題不識庵撃機山図(頼山陽)
合戦川中島(角光嘯堂)
九月十三夜(上杉謙信)
春日山懐古(大槻磐渓)






「令和に伝えたい詩吟」の合吟が続きます。

荒城月夜之曲(水野豊洲)
九月十三夜(上杉謙信)
青葉之笛(松口月城)
静御前(頼山陽)
偶成(朱熹)
勧学(木戸孝允)
九月十日(菅原道真)
秋思詩(菅原道真)
逸題(乃木希典)
海南行(細川頼之)
桂林荘雑詠(広瀬淡窓)
宝船(藤野君山)
中庸(元田東野)
富士山観(西島香雲)

さて、漢詩のルーツを遡ってみますと、中国にその起源があります。
中国の詩人たちは、風景や自然をうたい、自分たちの心を見つめ、また戦争や懐古、望郷など多くの名作を残してきました。時代や国を超えて人々の心を打つそれらの詩は、現代においても色褪せていません。令和の時代にも吟じ継がれたい詩吟です。


大会でも、各会によって吟じられました。

聞官軍収河南河北(杜甫)
黄鶴楼送孟浩然之広陵(李白)
出塞行(王昌齢)
芙蓉樓送辛漸(王昌齢)
泊船瓜洲(王安石)
宿建徳江(孟浩然)
渡桑乾(賈島)
涼州詞(王翰)
秋夜聞笛(岑参)
楓橋夜泊(張継)
回郷偶書(賀知章)
菊花(白居易)
田園楽其六(王維)
豊楽亭遊春(欧陽脩)



神風流後援会による皆様方も企画を構成して出吟しました。
企画のタイトルは、令和の原点を築いた二人「木戸孝允、津田梅子」



独吟でも多くの皆様にご出吟いただきました。


私は「令和」にちなみ、万葉集から「梅花謌卅二首併序」より四行を吟詠しました。

時に初春の令月にして 気淑く風和らぐ
梅は鏡前の粉を披き 蘭は珮後の薫らす


最後は総元吟詠と会場の皆様と大合吟となりました。
蒙古来(頼山陽)

令和(Beautiful Harmony=美しい調和)をテーマにした大会らしく、吟詠のハーモニーがホールいっぱいに響き渡りました。
終了時刻は18時頃。
熱演続きの一日となりました。



【ご挨拶】
全日本詩吟道連盟理事長
詩吟神風流総元
  岩淵 神風

 詩吟神風竜は来年九十五周年記念大会を開催致します。神風流は歴史と伝統の流派であります。力強い気概ある吟詠と、非常に多彩な節調を特長としております。今年は「令和」という元号となり、新しい時代の幕開けとなりましたが、伝統芸能、芸術というものは、時代を超え、時代を繋ぐ役割を持っているものと確信しております。「令和に伝えたい詩吟」を今大会のテーマと致しましたが、未来永劫、神風流の詩吟が吟じられ、後世に伝えられることを願っております。

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【合吟】出吟の神風流各会・各教室(順不同)

総本部各教室
総本部藤が丘支部
槇詞吟詠会
瑞雲会
聖龍吟詠会
神崚会
神考会
吟警会
神倩吟詠会
衆芳会
西吟会
神旅会
皇龍吟風会
参神会
福吟会
神笙会
柏新吟詠会
観要会
神玉吟詠会
岳風会
士友会
聖心吟詠会
永伊会
神良会
西湘会
神仙吟詠会
日吉槇吟会
神潮会
如水朗誦会
神耀会
堯風会
董風吟詠会
墨東吟詠会
千葉吟詠会
清謡会
浦安詩吟会
燈照吟詠会
神蜂会


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大会前日の準備から撤収まで2日間にわたり、舞台係、進行係をはじめ、役員の方々、映像の(株)トリム、PAC、ホールのスタッフの方々、関係者の方々には大変お世話になりました。どうもありがとうございました。