詩吟神風流【公式】YouTube 二代目総元岩淵先生吟詠「清明」
清明とは二十四節気の一つ。4月5日前後。清々しく明るい空気に満ち、花や草木、全てのものが活き活きとする頃と伝えられています。(二十四節気(にじゅうしせっき) | 日本の暦 (ndl.go.jp)より)
「杏花雨」という言葉がありますが、清明の時節の今日、冷たい雨が降りました。
杜牧「清明」の漢詩を思い出します。
清明 杜牧
清明の時節 雨 紛粉(ふんぷん)
路上の行人 魂(こん)を断たんと欲す
借問す 酒家(しゅか)は何れの処にか有る
牧童 遙かに指さす 杏花(きょうか)の村
清明節、墓参りに行くところだろうか。作者は一人で旅に出た。
しかし、せっかくのハレの日に雨がしとしと降り続いている。
非常に心が重い。
そこで、雨宿りでもして酒を飲んで心を晴らそうかと思う。
ふと牛飼いの少年に出会い、酒を飲めるところはないか尋ねてみる。
すると少年の指さしたその先に見えたのは、満開の杏花が広がる村だった。
絵画のような美しい漢詩です。
心が鬱々としていたけれども、少年に出会う。
少年に出会ったことも奇跡ですが、彼が教えてくれたのは遠くに見える美しい村でした。
転句を吟じるときには、奇跡的な出会いと新しい発見にワクワクする気持ちになります。
結句「遙かに指さす」を「中上アゲ」で、遙か彼方のまるで桃源郷のような「杏花の村」を想像して朗々と吟じると、心が晴れやかになっているに違いありません。
ところで、この桃源郷のような「杏花の村」の話を詩吟教室でしたところ、ある生徒さんが、詩中にある「杏花の村」のような風景が長野県にあることを教えてくれました。
コロナが終息したら訪れてみたいと思っています。
詩吟を通して、まだ見たことのない美しい風景に思いを廻らせてみるのも楽しいです。