第48回新年全国詩吟大会兼各杯コンクール決勝

[日時]  平成29年1月22日(日)
[場所]  練馬文化センター





[式典]
前回の優勝杯の返還から始まり、続いてヴォイス・トレーナーズ・アカデミー学長大本恭敬先生から御祝辞をいただきました。発声は、体温を上げ、免疫力向上につながるというお話でした。体温を1度上げると、免疫力が5倍アップすることが知られています。確かに、大きく息を吸ってお腹から声を出し、一吟すると体がポカポカしてくるのがわかります。詩吟は、風邪やインフルエンザにかかりにくい体を作ることができるのだと改めて実感しました。




会場はほぼ満席


[コンクール決勝 独吟]

各地区予選の難関を勝ち抜いてきた吟士による吟詠が行われました。

コンクールの課題吟は、《一般の部》では12題、《各杯の部》では14題ありますが、その中で決勝に出場した吟士の吟題は次の通りです。

《一般の部》 順不同

李白「早発白帝城」 1名
西道僊「城山」 2名
広瀬武夫「寄家兄言志」 4名
伊藤博文「飲某楼」 2名
西郷南洲「偶感」 3名 
朱熹「偶成」 3名 
石川丈山「富士山」 1名 


《各杯の部》 順不同

林羅山「武野晴月」 1名
梁川星巌「題常磐抱弧図」 4名
太宰春台「稲叢懐古」 2名
王安石「泊舟爪洲」 2名
李白「哭晁卿衡」 5名 
賈島「渡桑乾」 2名
孫覿「重宿楓橋」 2名
高適「別菫大」 1名
乃木希典「逸題」 2名





[コンクール決勝 合吟]





《各杯の部 合吟》 プログラム掲載順

元田永孚「中庸」 皇龍吟風会男子(大田区)
頼山陽「題不識庵撃機山図」 皇龍吟風会女子(大田区)
元田永孚「中庸」 総本部男子(新宿区)
王翰「涼州詞」  如水朗誦会(市川市)
細川敬之「海南行」 永伊会(横浜市)
杜牧「清明」 日吉槇吟会(横浜市)
広瀬武夫「寄家兄言志」 千葉吟詠会(千葉市)
広瀬武夫「寄家兄言志」 静風会(八潮市)
于濆「感事」 柏新吟詠会女子(見附市)
于濆「感事」 柏新吟詠会男子(見附市)
王之渙「登鸛鵲樓」 冠翔会(長岡市)
徳川景山「弘道館賞梅花」 松悠会(長岡市)
西島香雲「富士山観」 神邑会女子(十日町市)



成績発表と表彰


表彰者を囲んで

※結果は、会員向け会報にてご覧いただけます。



総元吟詠「易水送別」

[易水送別 詩文と内容] 

承句と転句の間に、和歌調の節が入ります。


 易水送別  駱賓王 (「朗誦」27頁)

此の地 燕丹に別る
壮子 髪冠を衝く

風蕭蕭として易水寒し 
壮士ひとたび去って復た還らず

昔時 人已に没し
今日 水猶ほ寒し



昔、此の地、易水で、燕の太子丹が荊軻(けいか)を秦の国に送るため、送別の宴が開かれた。
荊軻は秦の始皇帝を暗殺することを命じられたのだ。しかし、この計画が成功する可能性は低かった。
そのことを皆知っていたのだろう。荊軻を見送る壮士たちは、白い装束(喪服)で集まった。
髪が冠を衝くほどであった。(壮士たちも荊軻も、最後の宴である。そうした状況での感情の高まりを表している。)
荊軻は旅立つとき、「風蕭蕭として易水寒し 壮士一たび去って復た還らず。(風はもの寂しく吹き、易水の水は寒々と流れている。壮士がひとたび去ると二度とは帰らない)」と歌った。
楽器が奏でられ、皆涙したという。
(結局、荊軻は暗殺に失敗し、絶命した。燕もまた秦に滅ぼされた。)
昔の人々は已に死んで、今はもういない。
ただ易水だけが今も猶お寒々と流れている。