高啓「胡隠君を尋ぬ」

春、水辺に咲く草花を見ると、高啓の「胡隠君を尋ぬ」を思い浮かべます・・・

渡水復渡水
看花還看花
春風江上路
不覚到君家

高啓が友人の胡君を訪れたときの挨拶の詩です。
水(川)を渡ると、また水(川)。花を看たら、また花。春風とともに川沿いの路を歩いていたら、いつのまにか胡君の家に着いてしまった。
高啓の友人は、胡という姓で、隠居しているのですが、美しい自然の中に住まわれていることが想像できます。高啓は、胡君の家を訪れ、それをほめています。

高啓は、明の時代、朱元璋から招かれ官職に就くのですが、年若い自分では重圧に耐えられないという理由で辞職します。自由人として、詩人として創作に意欲をみせるのですが、親しくしていた蘇州長官の魏観に謀反の疑いがかけられたことや、風刺作品を書いたことなどで嫌疑がかけられ39才の若さで極刑に処せられました。なお、高啓の詩は、夏目漱石や森鴎外などに愛誦されています。

高啓の詩にあるような春らしい風景を探して散歩するのもまた楽しい季節です。



皇居内堀 3月24日
 


                                              (2016年3月24日)